最近の若者は 車どころか 免許すら取得しない傾向がある、という話をよく聞きます。

確かに 都市部に住んでいると 一般の公共交通機関での移動が非常に利便性があることや

駐車場や保険料、車の維持費を考えると 必要な時だけ借りられるカーシェアやレンタカーの利用者も増加傾向にあるのも納得です。

都市部での自家用車のあり方も 時代とともに変化し続けているのですね。

本日 9月22日は 『カーフリーデー』という日です。

ご存知の方も少なくないと思いますが、毎年この日に この『カーフリーデー』なるイベントが 世界的に行われています。

(※日本は9月23日の祝日にする場合もあります)

このイベントは 地球環境問題、都市交通問題等の改善のため

マイカーを使わない日を設け、公共交通機関・徒歩・自転車などを利用し、

都市環境の変化を体験することによって、

経済や文化活動にどのような影響があるか「持続可能な都市交通とは何か」を一緒に考える社会実験的なイベントとなっています。

『カーフリーデー』は フランスのラ・ロシェルという街で誕生しました。

このラ・ロシェルは

フランス南西部、ボルドーから1時間ほど北に向かった港町で

高級リゾート地として有名なレ島をいだく、風光明媚な観光地です。

車やトラムの会社や工場があり、機械産業分野も発達しているためか、環境保全を町をあげて行っていることで有名です。

1971年から1999年まで この街の市長だったミッシェル・クレポー氏は

環境にやさしい街を目指して、いくつかの前衛的な施策を実現しました。

近年 東京の一部でも実施している有料レンタサイクルを すでに1976年から無料(2時間以降は有料)で導入していたり

1986年からは排気ガスを出さない電気自動車を公共車両に導入したり

さらには 1995年に 電動スクーターと電気自動車のレンタルを開始、

1999年には、市近郊で乗り降り自由の電気自動車「リーゼレック」も導入しました。

こうした革新的な市長のもと 1997年9月9日に「車なしの日」はフランスで初めて設定されました。

毎年この日は、車は市街に入れないので 人々は自転車、ローラーブレード等の移動手段を使うそうです。

人々は 騒音や大気汚染の低下を実感し 車がない生活の安全さや快適さを体験できるのです。

こういった環境先駆都市の市長は 市長にとどまることなく

1981年から2年間、フランスの環境大臣も務めることになり

大変に評判がよかったこの「車なしの日」も

環境保全プロジェクトとして フランス全土に広めることになりました。

それはやがて ヨーロッパ諸国、世界にも広がりました。

「車なしの日」が発端となり

時を経て この『カーフリーデー』に発展しました。

そして その日の前後1週間を「モビリティーウィーク」として

都市と環境と交通等の関連するテーマについて キャンペーンやイベントを行っています。

現在は約2000都市以上が実施しているそうです。

例えば

2002年 台北で交通政策展開のスタートポイントと認識、2003年より正式に参加しています。

2007年 (北京オリンピック前年)中国が参加。自国の交通施策を世界に向けてPRしました。

2007年 ソウル市が実施、鐘路でバスを除く車両の通行禁止(4~18時)バスが無料になりました。

2012年 ベトナム(ホイアン市)が参加、翌2013年より正式に参加しています。

日本では

2004年 横浜市・松本市・名古屋市の3都市の参加で始まりました。

注目すべきは 人口200万人の愛知県の中心都市、名古屋市の参加です。

日本最大の自動車会社の本社があり、自動車や交通についても 大きな影響力を持っています。

そんな名古屋市が 1992年に「ノーカーデー」の実施を宣言し、

自家用自動車の使用自粛を訴え、市営地下鉄及び市営バスの割引乗車券の販売を始めたり

「環境にやさしい自動車利用方針」を打ち出したり 率先して車の効率的な利用を呼びかけていることは 素晴らしい活動と言えるでしょう。

こうして日本でも毎年

仙台、さいたま、横浜、逗子、福井、松本

豊橋、大阪、京都、高松、那覇 金沢といった都市が参加しています。

世界共通の意識を持ちつつ

『カーフリーデー』は都市単位のイベントで 自治体が中心となり、NGOや企業と協力しながら実施しています。

当日は、街の特定の地域において、マイカーの使用を抑制し、

公共交通機関、自転車、徒歩の使用をメインとする歩行者優先の空間を作ります。

さらに、公共交通機関の増便や運賃の特別割引・無料化、乗用車やタクシー相乗り、といった

自転車道・駐輪場の整備や自転車のレンタルなどのキャンペーンを行います。

また 都市交通や環境に関するシンポジウムや展示会が開催されます。

こうして、マイカーに頼らなくても、都市部の人々が

移動性を制約されることなく 不自由なく 街を往来できるという意識を高めます。

そして、マイカーを制限することで

緊急自動車や商業車などの働く車が 動きやすくなり

渋滞の解消や騒音、大気汚染の減少といった環境の変化を実感する機会を提供していきます。

そしてまた 新しい交通施策や交通システムの実施・導入のきっかけにもなっています。

引用参考:カーフリーデー